「安いから選ぶ」と「高くても選ぶ」の違い

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「安いから選ぶ」と「高くても選ぶ」

人は、値段で選んでいるようで、実は“心”で選んでいます。
「安いから」でも、「高くても」でも、その奥には、ひとりひとりの小さな理由が隠れています。

新しく美容室を選ぶとき

新しく美容室を選ぶとき、あなたは何を基準に選びますか?
価格、通いやすさ、ヘアスタイル、予約の取りやすさ、サロンの雰囲気、口コミの評判……人によってさまざまですね。

中でも“価格”は大きな判断基準のひとつです。
けれど、状況や価値観が人それぞれ違う以上、「安い=悪い」「高い=良い」とは言い切れません。

今の時代、カットカラーで1万円を切るヘアサロンもあれば、2万、3万に迫るサロンもあります。
今回は美容師側の視点ではなく、お客様の立場から「なぜその価格を選ぶのか」という心理を考えてみたいと思います。

なぜ人は「安いから選ぶ」のか

「安いから」という理由で選ぶ理由を、ふたつ挙げたいと思います。

まずひとつめに、人は“損をしたくない”という心理が働きます。
高いお金を払って失敗したくない。期待して裏切られたくない。
安いということは、“失敗しても諦めがつく価格”でもあります。

だから、まだ「これだ」と思うものに出会えていないものほど、まず“安い”という基準から試していきます。
それは誰にでもある、防衛反応のようなものなんだと思います。

そしてもうひとつは、“済ませるための選択”になっている時です。
目的が“感動”ではなく“処理”に変わると、値段は
“価値への対価”ではなく、“コスト”として見られるようになります。

つまり、支払うお金を「感動への対価」としてではなく、
「いつもと同じでいい」「他の人と同じでいい」と思うほど、“処理”に変わり、値段はただのコストになります。
そしてコストは少ないほうがいいのです。

つまり安さとは、気軽さであり、距離のある安心でもあります。
深く関わらずに済む分、失望もしない。
だからこそ、多くの人がそこに“安心”を感じるのです。

「高くても選ぶ」人の心理

“高くても選ぶ”人は、実は「モノ」ではなく「体験」を買っています。
そこにあるのは、信頼・心地よさ・自分を取り戻せる時間など。
「ここに任せたい」「ここでしか叶わない」と感じた時、価格は
“比較の基準”ではなく“価値の証”に変わります。

たとえばコンビニの100円コーヒーと、静かなカフェの1000円コーヒー。
求めているのは味だけでなく、空間・香り・静かな時間という“心が整う体験”です。

高くても選ぶ人は、得たい体験そのものを買っています。
その選択は、ただの贅沢ではなく、“自分を大切にする行為”なのです。

私が安売りをしない理由

私は、価格で選ばれるのではなく、“信頼で選ばれる仕事”をしたいと思っています。

安くても良いサービスは世の中にたくさんあります。
しかし、値段で選ばれた関係は、簡単に切れてしまう
でも、“あなたじゃないと”と言われる美容師は、値段ではなく“想い”で選ばれているのです。

だから私は、コストを下げる努力よりも、
その人の髪に本気で向き合える力を磨きたい。
技術も、知識も、心も。
そのすべてを込めた時間が、「信頼の証」に変わると信じています。

「安いから行く」人を否定しません。
けれど私は、“高いけど行きたい”と思われる美容師でありたい
価格ではなく、“誰に任せたいか”で選ぶという価値観が広がれば、
美容の仕事はもっと深く、美しいものになると思っています。